山中で蜂に刺されエピペンを手に入れるまで

だいぶ前の体験だが、メモが出てきて写真も残っていたのでブログに書き残す。

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あるときオートバイで山中を走行中、突然背中に痛みを感じた。熱く焼けるような痛みが走り、まずはなんとかバイクを路肩に停めた。痛みが続く中、全力でウェアを脱ぎ、Tシャツだけになったところで背中から何かが出ていく感触があった。

振り返ると、黄色いものが空に向かって飛んで行った。脅威がそれ以上無さそうなことにほっとしながらも、刺されたことによって体に異常がないかということが気になり始め、呼吸を落ち着けることに集中した。

刺されてとても痛かったが、呼吸が苦しくなるようなことはなかった。病院も何もない山中であるし(携帯も圏外だった)、とにかくここから移動するしかない状況だったが、幸いなことに自宅に着くまでに状況が悪化することはなく無事帰宅した。

結局、5箇所刺されていたが、最初の一撃(左上)が一番腫れていた。

1カ所写ってないが5カ所刺された

5箇所も刺された割には行動継続できる程度のダメージで済んだことから、スズメバチでは無かったのではないか。今思えば、集団に襲われなかったことや、痛みで身動き取れなくなるようなことがなかったこと、パニックに陥って深い山中で転倒しなかったことなど、ラッキーだった。

翌日、痛み以外は問題なかったためそのまま出社し会社にある診療所で診てもらったのだが、派手に腫れていると言われ塗り薬をを処方された。また、再度蜂に刺された場合にアナフィラキシーショックになる可能性があるため、エピペンという薬を処方してもらうことを勧められた。エピペンは蜂に刺された後に体が蜂毒へのアレルギー反応を起こした際に、それを緩和するための薬で、呼吸が苦しくなったり、意識が遠のいたりすることがある場合でも、短時間で効果が現れることが期待できる。アドレナリンの自己注射のようである。

短期間のうちにまた蜂に刺される可能性は低いとは思うが、逆に明日また刺されるということもありえる。リスクと興味と両方が勝り薬を手に入れることにした。

とはいえ風邪を引いて風邪薬をもらうのとは違う。診療所の医師からもアレルギーを取り扱っているかどうかを確認して病院に行くように勧められたが、そんな病院は知らない。そこで近所のかかりつけの病院に電話して、エピペンが処方可能かどうかを尋ねてみた。受付ではまったく話が通じなかったが、最終的に医師に確認してもらい、処方可能という回答を得た。

翌日その病院で受診し、蜂に刺された患部を見せ、会社の診療所で言われたことを伝え、アナフィラキシーショックに備えてエピペンを処方してもらいたい旨を伝えた。医師からは、その虫が本当に蜂だったか等を聞かれ、まずは蜂に刺された部分の治療を行い、一週間後に再診するように指示された。

一週間後に病院で再診を受け、エピペンを手に入れた。練習用のダミーもセットで提供されており、いざというときに正しく使いこなせるように練習しとけということらしい。価格は結構高くて、薬価が1万ちょっとでこれの3割となる。

エピペンと練習用トレーナー

一般的には短期間のうちに二度刺されると、蜂毒に対する抗体が原因でアナフィラキシーショックを起こす、という仕組みなので、刺された後用心のためにエピペンを手に入れたことは正しかったと思っている。しかしずっとその抗体が生産され続け危険な状態が続くのではなく、徐々にリスクも下がるだろうから(個人差はあると思われる)ずっとお守りでエピペンを持ち続ける必要は無いだろう(個人の考え)。
農林業で山に入ったりトレッキングが趣味であれば持っていった方がいいだろうが、病院でしか手に入らないし1万円超えてくるのはちょっと辛いと思う。